最終更新:2026年3月
先日、介護施設職員を対象に約80名の腰痛検診を行いました。
腰痛のリスクを伴う職業に従事する労働者は、半年に一度の腰痛検診が義務づけられています。検診では受診者数が多いので手際よく判断しなければなりませんが、小さな声を逃しては検診の意味がありません。目と耳を研ぎ澄まし1人ひとりへ対応します。
一般労働者の腰痛発生頻度は約62%ですが、介護士は約85%と約20ポイントも高いことがわかっています。今回の検診でも同様の印象でした。
そもそも腰痛は、国民が抱える身体の不調の第1位・2位を毎年獲得している国民病の1つです。なぜ根絶が難しいかというと、何か1つ「これのせい」と原因特定がしにくいからです。動作的要因、環境要因、個人的要因のほか、心理・社会的要因が複雑に絡み合っています。
検診時、しびれの症状が出ている介護士さんがいらっしゃいました。「病院を一度受診されませんか?」と伝えると、絶対イヤだと表情で訴えながらこうおっしゃいました。
「『痩せろ』って怒られるから、絶対病院には行きたくない」
過去にそういった経験がおありなのだろうと思いました。
「怖がらせるためではなくて、あなたの関節を守りたいから」と、関節ラブを伝えると、最終的に拒絶反応は和らいだように見えました。
ここまで読んでいただいた方には、「腰痛の原因は肥満」と言い切れないこと、したがって痩せても腰痛が治るとは限らないことがご理解いただけると思います。
私の博士号論文は「高度肥満者の骨格筋量」を研究した原著論文です。万が一、無理な減量を試みて腰背部を守る筋肉が落ちてしまうと本末転倒。別の腰痛のリスクが高くなってきます。
恐怖心で人を動かそうとしても、さまざまな理由から無理な減量はおすすめしません。
論文の結論は、「肥満であっても筋肉量を維持・増加させることで、インスリン抵抗性と呼ばれる身体への不具合が改善していく」というものでした。
つまり、見た目の脂肪量を落とすために無理な減量を行い、必要な筋肉をなくして別の腰痛リスクに怯えるよりも、今は慌てず健康的に筋肉を動かして増やしていくこと。「今からでも少しずつやっていこうね」が私からのメッセージです。
筋肉を味方につけると、巡り巡って脂肪を燃やしてくれます。
引用元:
・厚生労働省「腰痛予防指針(別添え)」
・厚生労働省「令和元年業務上疾病発生状況等調査」
やえこふクリニック
担当:Dr.EKO博士(医師・医学博士/整形外科専門医・産業医)
※本コラムは情報提供を目的としたものであり、医療行為・心理療法の提供を意図するものではありません。当院のプログラムは自己成長を目的としたメンタル思考トレーニングです。
博士号論文に「高度肥満者の骨格筋量」を研究した原著論文があります。ここまでコラムを読んでいただいた方には、「腰痛の原因は肥満」と言い切れないため、痩せろと怒って、もし本当に痩せたとしても腰痛が治るとは限らないことがすでに理解いただけていると思います。万が一、無理な減量を試みて、腰背部を守る筋肉が落ちてしまうと本末転倒です。別の腰痛のリスクが高くなってきます。他にも肥満は心臓にも悪いからとか、あの手この手で恐怖心で動かそうとしてもやはり、様々な理由から無理な減量はオススメしません。
※原著論文の「原著」とは私が研究の責任者で論文の作者ですよ、の意味です